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それは昨日の夜。
王宮での職務を終え、居候先の農場「真・プリン帝國」に帰宅した時のこと。
いつものように、群がるプリン型の生物(肉食)をあしらいながら母屋に上がる。
そして、住居である屋根裏への階段を降ろして部屋へ入ると――
ベッドの上に、パンダが座っていた。
「………………」
しばし沈黙。
とりあえずベッドから降りろと言うべきか、
それとも問答無用でジャーマンスープレックスを決めるべきか。
いや、それ以前に何故パンダがこんなところに居るのか……?
悩んでいると、突然パンダが身を起こして近寄ってきた。
首をふりながら、とことこと。
そして、
「むにゃむにゃ…」
……起きたまま寝言を言い出した。
そのまましな垂れかかって来るパンダ。
子供とはいえ、結構重い。
「仕方ないな……」
抱え上げて、ベッドの上に寝かせる。
ただでさえ狭いベッドなので、もうほとんどスペースがない。
こうなったら抱きかかえて寝るしかなさそうだ。
もこもこの毛皮ごしに伝わる体温が心地良く、
その日は朝までぐっすりと眠れた。
――そして今日。
結局、朝は追い出せないまま勤務の時間になり、
わずかな買い置きの食料(主にプリン)を与えて、家の中に残してきた。
澄んだ星空の下、手に紙袋を抱えて家路を急ぐ。
袋の中にはリンゴや野菜などがゴロゴロと入っている。
玄関のドアを開けると、待ちわびたように彼が鎮座していた。
「シスタスだ♪」
人の言葉を発しながら、とことこと近寄ってくる。
リンゴを袋から出してやると、両手で受け取って嬉しそうに齧り始めた。
そんな様子を眺めながら、
(……もう一日くらい良いかな)
と密かに思う。
きっと明日も同じことを思うのだろうけれど。
リンゴに夢中な抱き枕をかかえて、屋根裏部屋に上がるのであった。